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いつも考えるのは彼の「怒ってくれた事」だった。「なぜ彼はいきなり怒ったのだろう」でも、あの怒りは「恨み」だとか「嫌悪」だとか、人を「侮辱」するようなものはなにもない怒りだった。警官たちやおれの父親が「怒る」時とは大ちがいだ。まじになってこのオレを怒ってくれた。彼には何の得もないのに。彼のあの態度のことを考えると勇気が湧いてくる。ナランチャは彼とその仲間のために働きたい。「男っていうのはああいう人のために働くものだ」ひたすらそう思うようになった。
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